バルテスが組織知として確立する独自メソッド「QUINTEE」とは?
ソフトウェアテスト・第三者検証の専門企業として、品質のトータルサポートに尽力しているバルテス株式会社。安心・安全なICT社会の実現と人材育成への貢献を企業理念に掲げ、創業以来培ってきた知見を長年蓄積し続けています。
また、それらを独自のテストメソッド「QUINTEE」として体系化し、自社業務での活用の他、外部にも広くノウハウを公開。業界全体のボトムアップを図っています。
今回は、バルテスの社内研修や外部セミナーの運営などを担当するR&C部と広報戦略部のメンバーにインタビュー。QUINTEEについて深掘りするとともに、知識を体系的に学ぶメリットや、目指す業界の未来について聞きました。
【プロフィール】
バルテス・ホールディングス R&C部
部長 堀(ほり)
部品メーカーなどで組み込み系のプログラマーを経験したのち、総合家電メーカーの系列会社で品質管理に従事。2017年にバルテスへ入社し、部の統括とともに、品質セミナーのコンテンツ開発や社内教育の運営・講師、社内の標準化委員会の運営などを担当している。
バルテス・ホールディングス R&C部
マネージャー K.T
エンジニアとして開発・設計・テスト業務に携わり、前職では社内研修の講師も経験。2021年にバルテスへ入社後は、研修講師、お客様向けセミナー講師、各種記事の執筆などと合わせて、QUINTEE標準化委員会の事務局長も務めている。
K.Tさんにお話をうかがった「バルゼミ入社時研修」については、こちら!
広報戦略部
広報メディアグループ リーダー U.W
前職では、外資系企業の日本法人でプロジェクトマネージャーや広報マーケティング業務に従事。2019年にバルテスへ入社後は、広報メディアグループのリーダーとして、マーケティング戦略の立案、広報活動の企画・運営に従事。QUINTEEに関する情報発信なども担当している。
U.Wさんにお話をうかがった「Qbook」については、こちら!
QUINTEEはバルテスが蓄積した知見を体系化したもの
―― QUINTEEはどのようなものなのでしょうか?
堀:QUINTEEとは、バルテスが創業以来培ってきた、ソフトウェアテストや品質管理のノウハウを体系的にまとめたものです。
ソフトウェアのテスト業務は、ドメインやプロジェクトごとに、様々な進め方や細かいノウハウがあります。そのためQUINTEEは、具体的な手順を指南するものではなく、幅広い案件で応用できるように、テストの基盤となる考え方を定義しています。
また、ソフトウェアの品質管理にはテストだけでなく、リスク管理、見積り、テストの分析なども重要なので、そうしたマネジメント系の内容も含まれています。
K.T:ソフトウェアテストの規格は難解な部分も多いのですが、QUINTEEは誰でも取り組みやすく、一定のクオリティを担保できるように、案件活動で利用できるガイドラインやテンプレートを用意しています。
QUINTEEの取りまとめは、様々な部署のメンバーで構成された「QUINTEE標準化委員会」がおこなっています。
現場の意見を吸い上げ、社内のノウハウをきちんと蓄積する体制作りと、社内外を問わずQUINTEEの認知度を向上させることに取り組んでいます。
U.W:バルテスが運営するソフトウェア品質に関するポータルサイト「Qbook」では、テスト設計プロセス/テンプレートをダウンロードすることが可能です。テンプレートは、必須項目を入力すれば国際規格に適合した「テスト計画書」が作れるよう設計されています。
計画書の作成方法についてはQbook内で解説記事も公開中です。規格を知らない人でも一定のクオリティを保てるようにサポートしています。
バルテスから業界全体へ!「QUINTEE」活用事例
―― 社内ではQUINTEEをどのように活用していますか?
K.T:入社時に実施する1〜2カ月間の「バルゼミ入社時研修」では、即戦力として活躍できる人材の育成を目指して、テストの設計と実施に焦点をあてた指導をしています。
ソフトウェアテストは案件ごとにアプローチ方法が変わり、その都度、柔軟な対応が求められる仕事です。QUINTEEはそのための思考プロセスをまとめたもので、研修時には必要な要素を抽出して指導に盛り込んでいます。
どうすれば抜け漏れなく進められるかを言語化して教えられることが、QUINTEEの大きなメリットですね。
また、前職でテスト設計の経験がある方でも「我流でテスト設計をしていたのでどこまでやれば十分かわからない」「網羅性のあるテスト設計になっているのか」と不安に思う方もいます。
QUINTEEを活用したテスト設計を学んだ後は「テスト設計の基礎を体系的に学べた」というご意見をよくいただきます。
堀:バルゼミ入社時研修の他に、社員が任意で受講できる「バルゼミ社内研修」でも、QUINTEEを活用しています。以前は私も「テスト設計講座」を毎週開催していました。参加者の年齢はバラバラで、毎週10名以上が参加していましたね。
“気がついたらQUINTEEの思考プロセスが身体の奥深いところに染みついていた”という体系的に学べる仕組みが、社員のスキルアップには大切です。
今後はソフトウェアテストの土台になる考え方として、より多くの企業で活用していただきたいと考えています。
―― QUINTEEに対してどんな反響がありましたか?
K.T:バルゼミ入社時研修の満足度は93%と高く、新入社員から好評です。
ソフトウェアテストの対象は案件ごとに変わります。そのため「テストプロセスについて体系的に学べるのがありがたい」「QUINTEEをベースにした演習を通じて学ぶことで、しっかりと流れを理解して進められる」などの意見が寄せられています。
U.W:QUINTEEは、公開して1カ月でバルテスが過去に公開した資料の中で最高のダウンロード数を記録しました。
実際に、外部イベントなどで「活用しています」「助かっています」と声をかけてもらうこともあります。QUINTEEを通じて社会や業界に貢献できているようでとても嬉しいですね。
よりよい製品を開発し、業界全体の役に立つために
―― QUINTEEプロジェクトが発足した経緯を教えてください。
堀:一部のIT業界では“ソフトウェアテストは人海戦術的に実施するもの”という認識がありました。しかしそれは誤りで、テストには技術面でも管理面でも高度な技量が必要ですし、文書化も必要不可欠です。
もともと、バルテスではテストドキュメントをしっかり作ることに重きを置いていました。その体系をベースに、汎用性を持たせるためにソフトウェアテストの国際標準であるISO/IEC/IEEE 29119を骨格にし、QUINTEEとして再構築しました。
その目的は三つあります。一つ目は「バルテスが最新の国際規格に沿って、よりよいテストをおこなうため」。二つ目は「よりよい製品の開発を目指し、テストをはじめとした品質面で貢献するため」。そして「バルテスだけでなく、業界全体で役立てていただくため」です。
U.W:バルテスが創業した2004年当初は、ソフトウェアテストの市場は今ほど成り立っていませんでした。品質管理の現場では、海外のメソッドをそのまま取り入れている場合もあり、効率がよいといい切れない点もありました。
そこでバルテスでは業務効率化を図るため、自分たちの経験をもとに必要な知識や考え方を言語化し、ノウハウにまとめ、次の案件に活かしたり、人材育成に活用したりする文化が生まれたのです。
QUINTEEをさらに進化させ、業界に貢献したい
―― 「QUINTEE」を活用して今後、どのようなことをしていきたいですか?
K.T:QUINTEEを業界で多くの方に参考にしていただけるメソッドに育てていきたいです。もっと現場で役立つものにブラッシュアップして、より多くの人に使ってもらえるように外部へ発信していくことが必要だと思っています。
そのためには、部門の情報共有をよりスムーズにすることが必要です。失敗事例も含めた様々なケースを活用して、成功例を増やしていけるような体制を構築したいです。
U.W:私もQUINTEEを業界内に浸透させたいと思っています。バルテスは第三者検証の専門企業として、日本のソフトウェア開発と品質管理の現場を熟知しています。
そのノウハウをまとめたQUINTEEは、品質管理に課題感を持つ多くの企業をサポートできるはずです。今後はさらに情報を発信し、認知向上に向けてしっかり取り組んでいきます。そして、業界の活性化に貢献していきたいです。
堀:QUINTEEを立派な教科書にしたいというイメージは持っていません。
バルテスの知見と現場の工夫が詰まったQUINTEEというメソッドを通じて、充実したテスト業務が実施され、その結果、お客様のビジネスやプロジェクトが成功することを目指したいです。そのために、現場の創意工夫をQUINTEEに集大成していきたいと思っています。
私は20年以上、ソフトウェアの品質管理・向上に携わってきました。QUINTEEや品質管理業務、品質コンサルに取り組む中で、改めてQAエンジニアの仕事は奥が深く、 面白くてやりがいのある仕事だと感じています。
この仕事の魅力を多くの方に実感いただくために、今後もQUINTEEの進化に注力していきます。
https://recruit.valtes.co.jp/recruit/form/mail-magazine.html
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!
(*情報は全て取材当時のもの)